ヒト用ワクチン事業では、ノロウイルスをターゲットに経口剤と注射剤の2つの剤型で研究開発を進めています。
ノロウイルスワクチン
背景
ノロウイルスは急性胃腸炎や流行性下痢症の原因ウイルスであり、主な症状には、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛があります。一般的に2〜3日で回復するものの、高齢者や小児で重篤化することがあります。2017年の米国CDCから報告されたノロウイルスのアウトブレイクに関するレポートによると、世界では毎年世界で6億人以上が罹患しており、発展途上国を中心に20万人が死亡しているとの推定がなされています。一方で、ノロウイルスに対するワクチンについて、臨床試験に進んでいるものはありますが、上市された製品はありません(2024年4月現在)。
ノロウイルスはカプシド領域の遺伝子配列の相同性からI〜VIIの遺伝子群に分かれ、ヒトに主要に感染するのはGIとGII群です。それぞれの遺伝子型はGIが9種類、GIIが22種類に分類されますが、世界中のノロウイルス感染のうち約50%を占めるのがGII.4です。
開発状況
KAICO社では九州大学との連携の元、GII.4を中心として9種類(GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.17、GI.2、GI.3、GI.4、GI.6)のノロウイルス抗原の作製に成功しています。現在、治験薬生産に向けて、GMP製法構築と非臨床試験に取り組んでいます。
タンパク質受託発現トライアル
KAICOでは、メーカー様のワクチン開発に必要となるタンパク質を、コア技術である「カイコ-バキュロウイルス系」を用いたタンパク質受託発現サービスを通じて提供しています。
カイコ生体を使用するカイコ-バキュロウイルス発現系では、ノロウイルスのようなウイルス様粒子(VLP)の発現も得意としています。そのほか、SARS-CoV2のスパイクタンパク質を発現させた実績もございます。
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