カイコ-バキュロウイルス系組換えタンパク質
蚕で作る経口ワクチン
冬が近づくと、季節性インフルエンザのワクチン接種をされる方は多いのではないでしょうか。例えば、季節性インフルエンザワクチンが一般的に皮下注射で投与されるように、現在は注射器を使用したワクチン接種がメジャーです。
一方で、近年、様々な観点から経口ワクチンの有用性が注目されています。
- 注射への忌避感を持つ方も接種可能。また、注射器に由来する医療事故発生リスクを回避できる。
- 接種者本人が服用するため、医師の負担が少なく、パンデミックの際に効率的な大規模接種が可能。
- 固形製剤ではコールドサプライチェーンが必要なく、インフラの乏しい地域でも輸送・保存可能。
しかし、経口ワクチンの開発は難しく、現在日本で薬事承認が下りているヒト用経口ワクチンはロタウイルスの弱毒生ワクチンのみです。経口ワクチンの開発が難しいのは、ワクチンの主原料であるタンパク質が経口摂取するとアミノ酸に分解されてしまうためです。
KAICOでは、カイコ−バキュロウイルス発現系を用いて作製されるVLP(Virus Like Particle:ウイルスの外殻タンパク質のみで構成される遺伝情報を持たない中空粒子)に着目しました。ある種のVLPはタンパク質でありながら、消化管での分解を受けにくく、腸管まで届き、免疫を誘導することができます。このシステムを利用し、カイコで作製されたVLPを用いたワクチンの開発に日々取り組んでいます。
Fig. カイコサナギ由来ノロウイルスVLPの電子顕微鏡写真
また、ヒト用経口ワクチン開発の足掛かりとして、カイコで作製されたタンパク質を用いた免疫補強飼料を豚に投与し、その有効性を示すことに成功しました。
KAICOは、本モダリティに対して極めて大きな優位性があることを証明し、ヒト用経口ワクチン開発に向けて着実に歩みを進めて参ります。
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