カイコ-バキュロウイルス系組換えタンパク質
New! タンパク質発現系 ①概要
2024年のノーベル化学賞は、タンパク質の設計と立体構造予測に関するものでした。受賞のきっかけの一つであるAIモデル「AlphaFold」がより発展・普及することで、タンパク質の立体構造が高精度かつ迅速に予測され、新規タンパク質の発見や疾病関連タンパク質の研究進展につながることが予想されます。そこで、今回はAIの予測を実証する際に必要不可欠な技術であるタンパク質発現系について紹介いたします。
タンパク質発現系は下表のように様々な方法があり、KAICOが利用しているカイコ-バキュロウイルス発現系もその一つです。
品質(翻訳後修飾等)や発現レベル、スケーラビリティ、コストといった点で各発現系に長所短所があり、発現させるタンパク質の特性や用途に応じて、最適な発現系を選ぶことが効率的かつ効果的にタンパク質を生産する鍵になります。
例えば、数トン単位でニーズがあり、製造方法が確立しているようなタンパク質を発現させる場合は、大腸菌や酵母といった選択肢が候補になります。また、高コストでもヒトと同じ糖鎖を持つタンパク質を発現させる場合は、哺乳細胞を使用する場合が多いです。
一方、カイコ-バキュロウイルス発現系は、天然に近い品質のタンパク質を低コストで発現できることから、注目を集めています。次回以降、カイコ-バキュロウイルス発現系についてより詳しくお話ししていきます。